お茶畑の作り方! 摘採編 お茶の1年の流れはどうなっているの?

製造方法

お茶を収獲することを「摘採(てきさい)」と言います。お茶の木は一年に何度も摘採することができますが、寒くなると冬眠し、春の摘採、つまり新茶に備えているんですよ。 お茶の1年の流れを見ながら、摘採について詳しくなっちゃいましょう!

摘採(てきさい)とは?

チャノキの枝は、冬をのぞきたくさんの葉が芽吹き続けます。新しい葉が4枚程度出てきた 「4開葉期」のころが、摘採の目安。葉の数が多いほど収量(収穫量)も多くなりますが、品質は低下してしまうといわれます。つまり、新しいほど美味しい茶葉になるということ。

茶葉の主成分はカフェイン・カテキン・アミノ酸などが挙げられますが、葉が芽吹いて大きくなるにつれ、カフェインなどの成分も増加していきます。これらの成分が豊富なほど濃厚な風味の茶葉になりますが、5開葉期を過ぎてくると茶葉の主成分が減少し始めるんだとか。

徐々に葉も固くなり、繊維質が増加していくなど、品質はどんどん低下していきます。高品質の茶葉をできるだけ多くお届けしたい!というのが、茶農家の方々の願い。摘採適期を見極めるのが重要なのです。

摘採方法のいろいろ

摘採には大きく分けて3種類の方法があります。「手摘み」「はさみ摘み」「機械摘み」のそれぞれについて、詳しく見ていきましょう!

手摘み

摘採には大きく分けて3種類の方法があります。まずは「手摘み」と言われる手作業による方法。効率は落ちますが、機械が入っていけない高山部などでは主流です。海外の紅茶生産国では手摘みの方が主流で、熟練の茶摘み婦は1日に50kgも摘採できるんだとか!

3開葉期ころに摘採を行う「1芯3葉摘み」が主流です。葉をてのひらで覆うようにして茎をつかみ、上に引き上げて葉だけをしごき取ります。素手ではケガをしやすいので、手袋をする地域も多いです。摘採効率は1時間あたり1~3kgと言われます。

はさみ摘み

4枚ほどの葉と一緒に茎を切り落とす摘採方法です。ハサミの刃の片方に袋がついていて、切った茶葉が袋に落ちる仕組みの「茶刈りばさみ」など、便利な道具もあるんですよ。

手摘みでは熟練者とそうでない者の差が出てしまいがち。けれどもハサミを使ったり、機械を取り入れることで、誰でもカンタンに摘採の効率アップができます!

機械摘み

お茶の木は世界中で栽培されており、いろんな茶園があります。地平線が見えるほど広大な平野もあれば、霧が深く立ち込めるような山間地帯も。それぞれの地域や気候に適した機械を使用します。

携帯型

電池や小型発電機などの動力で刃を動かし、摘採していく機械です。一人でも運べる軽量型。少しだけ摘採したいときや、個人茶園に適しています。

可搬型

ふたりで茶株を挟むように立ち、茶株の両側から可搬型摘採機を支えます。ふたりで歩調を合わせて歩きながら摘採していく摘採機です。大型の機械が入れないような、あぜ道が狭い茶園に適しています。

1965年に開発されて以来、日本全国の茶園で活用されています。手摘みの60~90倍ほどの効率があるといわれており、1時間あたりの摘採量は300~400kg、1時間当たりの作業面積は500~600平方メートルです。

自走型

一人で摘採を行うことができる機械で、車輪がついています。可搬型摘採機はどうしても2人いないと使えませんが、自走型摘採機なら茶株の片側を自走してくれるので、1人で機械を支えながら摘採することができます。人件費の削減になるのが良いところ。

1980年に開発され、手摘みの120~180倍の効率があると言われます。1人あたりの作業効率は可搬型の2倍です。

乗用型

乗用摘採機は田んぼで見るトラクターのように、ダイナミックに摘採していきます。可搬式摘採機の2倍の効率があるとされ、大規模な平野の茶園に適しています。

1971年に開発されたもので、1時間で1,000平方メートル以上、600~800kgもの摘採が可能です。

レール型

お茶の木がならぶ畝(うね)にレールを敷いて、レールの上を台車が通る仕組みの摘採機です。傾斜の少ない平坦な茶園に適しています。

1990年代に開発されたもので、1時間以内に1,000平方メートルの作業効率がありますが、レールを敷いたり、レールの整備をしたりと、導入費・維持費がかかります。そのため乗用型摘採機の方が人気があるようです。

茶畑の一年

お茶の摘採においては、最適な時期を見極めるのが重要です。新茶の摘採のためにどんな準備をしているのか、見てみましょう!

日本では9月に入るとお茶の花が咲き始めます。チャノキはツバキ科なので、お茶の花もツバキにそっくり。花は3日ほどでしおれ、やがて茶の種ができます。このころからチャノキは休眠期間に入る準備を始めます。

お茶の木は休んでいても、茶園農家の人たちは休んでばかりいられません。というのは、チャノキは霜に弱いから。特に山間部では「防霜ファン」と呼ばれる巨大な扇風機を用意している地域も多く、チャノキに霜が降りないように寒気を飛ばします。

ときおり霜がついたりするのは問題ありませんが、毎日霜が降りたり、冬の間はずっと雪に覆われてしまうような寒い地域では、越冬することができないんだとか。

11月になると、いよいよ休眠期間です。チャノキは新しい芽や枝葉を出すことなく、寒い冬に備えて内部に栄養をたくわえます。その間も、白い花が咲いては落ち、落ちては咲き…を繰り返しています。

整枝

摘採が済み、休眠期間が訪れたら「整枝」を行います。整枝とは次の摘採面を均一にするため、不要な枝を刈り込んで茶樹の形を整えておくことです。整枝を行うことで、日当たりを均一にしたり、風通しをよくしたりする効果があります。

次の新茶にそなえる「秋整枝」や、冬の霜害をふせぐ「春整枝」などがあるほか、追加で「再整枝」を行うことも。一番茶(新茶)の後、二番茶の品質低下を防ぐ目的で整枝が入ることもあります。

新茶の時期、到来!

冬が過ぎて春の気配がしてくると、茶畑には変化が。新芽を感じさせる香りがしてくるなど、着実に新茶の準備をしていることがわかります。3月に入ると新芽の様子を見ながら、収獲日や収量を予測するんだとか。ワクワクしてきますね!

収獲日が近づくと、お茶のあま~い香りがしてきます。茶園は一面、鮮やかな緑色の葉におおわれ、明るい雰囲気。かぶせ茶を生産している茶園では、収獲の一週間~10日ほど前からチャノキに黒い布をかぶせます。

いざ収獲!

3月下旬、鹿児島県では日本一早い新茶の摘採が始まります。鹿児島県内の茶農家では機械化が進んでおり、機械で摘採を行われることが多いです。摘採後はできるだけ早く製茶工場へ運び、新茶へと加工します。

「夏も近づく八十八夜」と茶つみの歌にあるように、5月あたま、初夏の頃になると全国で新茶つみが最盛期を迎えます。このころは遅霜もあるため、茶農家の人は常に気を配っていないといけません。

春の新茶には、冬の間にたくわえられた栄養がたっぷり詰まっています。そのため一年で一番おいしいお茶が取れるのです。日本中で喜ばれるお茶作りを目指して、今日もたくさんの人ががんばっているんですね。

ここからお茶になるまで長い旅を続けます!

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