私たちがいつも何気なく飲んでいるお茶は、茶畑から長い旅をしています。このお茶がどこから来るのか、どんな風に育つのか、気になったことはありませんか?茶畑の様子をのぞいてみましょう!
チャの木とは?
お茶の葉が育つのは「チャノキ」と呼ばれるツバキ科の常緑樹。学名をカメリア・シネンシスといい、茶の木、茶樹などと呼ばれることもあります。このカメリアシネンシスの葉や茎、芽などをもちいた飲み物を茶と言います。ツバキ科というだけあって、冬が近づくとツバキによく似た花が咲くんですよ。
大きく分けて中国原産の中国種と、インド原産のアッサム種の2種類があり、日本で栽培されているのは主に中国種の方。カテキンが少なく、アミノ酸が多いため緑茶に向いており、ほかに中国や台湾などで栽培されています。茶畑では1メートル前後に刈り込んで背丈を調整するのが一般的ですが、本来なら2メートルにも達するんだとか。
アッサム種の野生種は、なんと15メートルにも達し巨大樹を形成することも!大きいほど多く葉がつくので、収穫量もアッサム種の方が多いです。カテキンが多く、アミノ酸が少ないため紅茶向き。
中国種・アッサム種いずれも、茶葉となる葉はツヤのある濃い緑色で、フチがギザギザしています。中国種の方が葉が小さく、3~5cmほど。少し丸みを帯びた形状です。アッサム種は葉が大きく、10~18cm程度にもなります。肉厚で葉先がとがっており、インド、スリランカ、アフリカ諸国などで栽培されています。
中国種・アッサム種のチャノキはお茶に加工されるほか、種から油をとる加工方法も存在します。どちらもよく刈り込みに耐え、栽培しやすい作物です。日本ではチャノキを生垣や鉢植えとして利用している家庭も。冬の間も葉が落ちないので、ガーデニングにも人気なんですね。
ツバキ科の植物とは?
チャノキと同じツバキ科には、ツバキ、サザンカなどがあります。ツバキは白い花のものもありますが、赤い花のものがよく知られていますね。ピンク色や、白と赤がまだらになったような花びらのツバキもあります。チャノキが冬に花を咲かせるのに対し、ツバキは春に花を咲かせます。
サザンカも同様にツバキ科ですが、ツバキやチャノキよりも花びらの数が多く、散るときには一枚ずつ散っていきます。ツバキは花が一個まるごと落ちますよね。また、ツバキは花が開ききったときでもカップ状を保ちますが、サザンカは大きく平らに開きます。
ツバキやサザンカはカテキンやテアニン、カフェインなどの含有量が少なく、5~10メートルという背丈に成長するため、お茶としては向きません。
茶外茶って?
緑茶、ウーロン茶、紅茶。これらはみな、カメリアシネンシス(チャノキ)から作られるお茶です。これ以外にも麦茶、ルイボスティーなど「お茶」と呼ばれる飲み物が世界中にたくさんあります。麦茶の原料は大麦の種を焙煎したもの、ルイボスティーの原料はマメ科の植物「ルイボス」の葉を乾燥させたものです。
このようにお茶と呼ばれますがチャノキを原料としていないものを「茶外茶」といいます。
チャの木が育つ環境とは?
中国種のチャの木は比較的寒さに強く、高山地帯でも栽培が可能なんだとか。日本では東北地方の一部でも栽培されていますが、一般には、全国や海外に流通するお茶は、新潟県の村上茶から茨城県の奥久慈茶あたりまでが北限といわれます。
アッサム種は中国種よりも寒さに弱く、日本でいう青森県あたりが限界だそう。熱帯~亜熱帯が減産なので、暑くても乾燥するところはニガテです。日当たりがよいところでよく育ちますが、日射量が少なくても耐えられるタフな植物。水はけがよく、通気性のよい土を好みます。
具体的には年平均気温が13度程度、年間降水量が1,300~1,400mm以上が好適条件といわれており、西日本がまさに最適の環境です。
日本全国のお茶産地
今、日本を代表するお茶の産地といえば、鹿児島県と静岡県。どちらの県も全国シェアを40%ほど持っており、3位の三重県(シェア8%)を大きく引き離しています。
鹿児島県では機械化が進んでいることや、若手の後継者が多いことなどから、お茶生産量がぐんぐん伸びているところ。様々な品種をバランスよく栽培し、有機栽培にも積極的に取り組んでいることから、海外での評価も高いんだとか。鹿児島県産のお茶は「鹿児島茶」と呼ぶほか、南九州市の「知覧茶」が有名ですね。
静岡県では古くから続くお茶農家が多く、お茶の消費量も日本一。「静岡茶」とよばれており、牧之原台地を中心とした地域が一大生産地です。学校給食に静岡茶がでてくるところもあり、子どものころから美味しいお茶に親しんでいることがわかります。
三重県で生産されるお茶は「伊勢茶」と呼ばれ、なかでもかぶせ茶の生産は日本一。コクのある味わいが特徴です。三重県の次には宮崎県の「宮崎茶」や、京都府の「宇治茶」などが続きます。
北限のお茶は茨城県や新潟県といわれていますが、さらに北上して北海道のニセコ町、 青森県の黒石茶 、秋田県の檜山茶、宮城県の桃生茶などでも茶栽培に取り組んでいます。寒さはニガテなチャの木ですが、地元に愛され、伝統的に受け継がれているのは素晴らしいことですね。
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