緑茶も紅茶も、もとは同じチャノキの葉っぱから作られているってご存知でしょうか?味も見た目もずいぶん違いますが、そのカギは発酵にあります。
お茶の葉を収獲するとすぐに発酵が始まりますが、発酵をさせないで作るのが緑茶。いっぽう、完全に葉を発酵させたものが紅茶です。日本で生産される和紅茶を中心に、茶畑から紅茶ができるまでの様子をのぞいてみましょう!
オーソドックス製法
まずは伝統的な紅茶の作り方をのぞいてみましょう!オーソドックス製法は、手作業で紅茶を作っていたときの工程をそのまま機械化したものです。200年ほど前に中国で行われていた手作り紅茶の製法をもとに、年々改良されています。
オーソドックス製法で作られる紅茶には、「リーフタイプ」「ブロークンタイプ」の2種類があります。リーフタイプは茶葉をできるだけ細かくせず、お湯を注いだ時にゆっくりと開く形状です。
ブロークンタイプは茶葉を細かく砕くため、水の色や香りが強く出やすい特徴があります。ブロークンタイプの多くはティーバッグに用いられます。
オーソドックス製法①摘み取り
摘み取り(つみとり)は摘採(てきさい)とも言われ、お茶の葉を木から収獲することを指します。収獲方法には「1芯2葉摘み」「1芯3葉摘み」 などがあり、これは最も新しい出たばかりの新芽を1芯と数え、次に新しいものから2枚もしくは3枚の若葉を摘むという意味。
国内の緑茶葉収獲は機械化が進んでいますが、海外をふくめ紅茶葉の収獲は手摘みが主流です。
②萎凋(いちょう)
萎凋とは「しぼむ」という意味。紅茶の製造工程においては香りを引き出す重要な工程です。収獲した紅茶葉を陰干しすることで、水分を飛ばしてしおれさせながら、発酵をうながします。
従来は15~20時間かけて自然に萎凋していましたが、近年では温風を送って萎凋時間を半分に短縮するようになっています。収獲したばかりの紅茶葉は水分量が8割近くありますが、萎凋後はこの水分量が半分になります。
③揉捻(じゅうねん)
揉捻とは、茶葉をもむことで茶葉の細胞組織をこわし、発酵を促すこと。同時に茶葉の形を均一にそろえ、整えていきます。揉捻によって茶葉は空気に触れる部分が増え、もむことで熱が加わるので、さらに発酵が進みます。このとき発酵が進みすぎないよう、ときおり冷却しては揉捻を繰り返すんだとか。
冷却するときには「玉解機」を使い、まとまって塊になってしまった茶葉をふるいにかけ、ほぐします。それぞれの工程ひとつひとつが、美味しい紅茶を作るために重要な役割を持っているんですね。このときに使う揉捻機や玉解機の種類で、ブロークンタイプもしくはリーフタイプの紅茶に大別されます。現在の和紅茶はブロークンタイプが主流になっています。
④発酵・乾燥
続いては紅茶を作るうえでもっとも重要な工程、発酵です。温度25℃、湿度90パーセント程度の発酵室で数時間寝かせます。ここまで来ると、葉は完全に赤くなり紅茶らしい香りが!
もし発酵が進みすぎると、香りが悪くなったり、紅茶をいれたときに黒っぽい色になってしまうので、ここでの判断は非常に重要。香りや色の様子を見て、最適なタイミングで発酵を止めます。 このとき、茶葉の水分量は6割程度になっています。
最後は紅茶の発酵を止めるため、100℃の熱風を送り、水分量を3~5%に調整する乾燥工程に入ります。こうしてできたものを「荒茶(あらちゃ)」と呼びます。 荒茶はふるいにかけられてサイズや形をそろえ、余分なものを取り除き「仕上げ茶」に。 仕上げ茶をブレンドすると、製品としての紅茶が完成です!
⑤製造
通常、私たちが普段飲んでいる紅茶は、20種類以上もの荒茶がブレンドされているんだとか。いろいろな茶葉をブレンドすることで、常に安定した性質の紅茶を提供できるんですよ。
同じ生産者の和紅茶でも、気候の影響を受けて、毎年の出来が変わります。けれども、味が毎年違うと感じることはありません。これは、たくさんの荒茶をブレンドしているからなんですね。
紅茶を消費する国の水に合わせたり、国民の嗜好に合わせることも重要です。基本的に日本は軟水の国ですが、硬水の国では紅茶の渋味や香味が抜けてマイルドになるんだとか。硬水で入れると、紅茶の色が濃く出やすいのも特徴です。
いっぽう、軟水で入れた紅茶は渋味が出やすく、色が薄め。香りは強く出ます。そのため日本向けの紅茶は、渋味が少なく、色が濃く、香りを抑えたブレンドをするんですよ。紅茶のブレンドには長い知識と経験が必須。ティーテイスターと呼ばれる専門家たちが、今日も美味しい紅茶を製造しています。
アン・オーソドックス製法
紅茶を作る工程の中で、もっとも時間がかかるのは発酵です。発酵をできるだけ早く完成させるため、効率化した製法がアン・オーソドックス製法です。
①CTC製法
アン・オーソドックス製法のうち、Crush(押しつぶす)・Tear(引き裂く)・Curl(丸める)の頭文字をとった製法です。揉捻機に特徴があり、2本のローラーで茶葉を巻き込み、茶葉の組織を壊しながら1~2mmのサイズに丸めていきます。ティーバッグの原料に使用されることが多いです。
1930年代に開発されましたが、近年、紅茶需要の増大にともなって急速に普及が進んでいます。今後さらなる進化が期待されますね。
②ローターバン製法
1958年に開発された大型の揉捻機で、ひき肉を作る機械を紅茶葉に応用したものです。投入口から茶葉を押し込み、圧力をかけて細かくしていきます。これを2~3台にわたって続けることで、均一な細かい茶葉が完成します。
セミ・オーソドックス製法
オーソドックス製法とローターバン製法を組み合わせたものです。細かい茶葉を作りながら、製造時間を短縮できるとして、現在では主流となっています。セミ・オーソドックス製法の登場で、揉捻~乾燥まで2時間半かかっていた工程が1時間も短縮できるように。
近年ではさらに、CTC機も併用されるなど、新しい製法がどんどん研究されているんですよ。紅茶の進化は止まらない!
自宅でできる!紅茶の作り方
現在では大規模な紅茶製造が一般的ですが、本来はすべて手作業で行っていたもの。つまり自宅でも紅茶を作ることができるんです!新鮮な茶葉が手に入ったら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。オーソドックス製法をもとに、自宅でできる紅茶のポイントをチェックしましょう。
自宅で紅茶①萎凋(陰干し)
紅茶を作るときは、萎凋(いちょう)の時間を長くとるほど甘い香りになります。しかし発酵しにくくなり、緑茶のようなさわやかさのある紅茶になります。濃厚な風味の紅茶を作りたい場合は、萎凋の時間を短めに。
ザルなどに新鮮な茶葉を広げ、風通しの良いところに1~2日置いておきます。ときどき扇風機で風を当て、まんべんなく水分が抜けるようにしましょう。
自宅で紅茶②揉捻(手もみ)
萎凋が済んだら茶葉を手もみします。少しずつもむではなく、多めの茶葉を一気にもむことで、茶葉と茶葉がこすれあって組織が壊れ、紅茶が出やすくなります。手もみを始めると茶葉から水分が抜け、手がしっとりとしてきます。揉捻が進むと手がベタつくほどに。
自宅で紅茶③発酵
揉捻後の茶葉を数時間~半日発酵させます。このとき、茶葉が乾くと発酵が進みにくいので、濡れタオルなどをかぶせておきます。ただし茶葉に濡れタオルが触れると、そこだけ変色したり、傷んでしまう原因にもなるので気を付けましょう。
緑色の茶葉の色が少し茶色くなってきたら発酵を止めるために加熱します。完全に茶色になってしまうと風味が落ちるので、早めに発酵を止めるのがおすすめです。
自宅で紅茶④乾燥(発酵止め)
発酵を止めるために120~140℃のオーブンで10分ほど加熱します。水分が完全に飛ぶと茶葉が焦げてしまうので注意しましょう。その後、ヘアドライヤー、扇風機、エアコンなどを利用して乾燥させたら紅茶の完成です!出来立ての紅茶は市販のものとは一味違うはず。ぜひお試しあれ♪
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