茶道とはそもそもなんですか? 茶道についてわかりやすくご紹介します。

飲み方

茶道とは「茶の湯」とも呼ばれる日本の伝統です。亭主が茶室でお茶をたて、客人をもてなすというもの。茶道には細かい作法がたくさんありますが、それらはすべて、お茶をおいしく飲むために考えられ、現在のような形になったのだとか。

茶道について、わかりやすくご紹介します!

茶道とは?

茶道とは、英語で「tea ceremony」といわれる通り、お茶の儀式、様式を指します。茶室、掛け軸、花、庭、茶道具、ひとつひとつの作法。茶会が行われている時間もふくめ、すべてが一体となった「茶道」という総合芸術なのです。

茶道を通して、亭主は客人を心からもてなします。亭主とは、茶会を主催する主人のこと。客人がお茶のひとときを存分に楽しめるよう、亭主は最大限の準備をします。

茶室を丁寧に掃除したり、 庭をすみずみまで手入れしたり、 季節にふさわしいお茶菓子を選んだり、どの茶道具を用いるか…に至るまで、誠心誠意の気配りをするのだとか。客人もまた、そんな亭主の心に応えるべく、最大限の礼儀をはらって茶会に臨みます。

茶道の精神を表す「一期一会(いちごいちえ)」は、「一生に一度きりの機会」という意味。もう二度と会えない相手だと思って、今できる最高のおもてなしをしましょう、といった心が込められています。

茶道の作法とは?

茶道には細かい作法がたくさんあります。お茶のたて方、飲み方、座り方、立ち方、歩き方…。いくつかの流派もありますが、流派が変わると作法も少しずつ変わってきます。これら作法は、いったい何のためにあるのでしょうか?

茶道の作法は、すべてお茶を楽しむために考えられたもの。亭主が客人においしいお茶を差し上げるため、客人が亭主からおいしいお茶をいただくため、さらにはお茶を通して、亭主と客人が心を通わせるため、もっともよいとされる形なのです。

私たちがいつも気にかけないような作法の数々。一見、堅苦しいものに思えるかもしれませんが、大切な意味が込められているんですね。一度、ゆっくりと時間をとって試してみるのもいいですよ♪

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利休七則(りきゅうしちそく)とは?

茶道といえば千利休(せんのりきゅう)。茶の湯を芸術まで高めた人物として知られています。利休が語った茶道の七大原則が「利休七則」です。誰でも理解できるシンプルな原則ですが、いざ実践するとなると難しい…そんな精神が紹介されています。

その7原則はこちらです。

  • 茶は服のよきように点て
  • 炭は湯の沸くように置き
  • 花は野にあるように
  • 夏は涼しく冬暖かに
  • 刻限は早めに
  • 降らずとも傘の用意
  • 相客に心せよ

これだけではよくわからないですよね・・・詳しく解説していきます

茶は服のよきように点て

「服」とは飲むこと。お茶を飲むことを一服(いっぷく)と言ったりしますよね。「飲んだ時に美味しいと感じるようにたてましょう」という意味です。もちろん相手が美味しいと感じることが重要。

客人の好みに合わせるだけでなく、時と場合や客人の気持ちを考えて、そのときにベストなお茶をたてることをすすめています。

炭は湯の沸くように置き

お茶をたてるためにはお湯を沸かしますが、利休の時代では炭を使うのが一般的でした。炭の置き方によっては、お湯が早く沸き過ぎてしまって、扱うときに熱すぎてしまいます。反対に遅すぎると客人を待たせてしまうことに。

炭火が強くなったり弱くなったりするのもいけません。ちょうどよい火加減が一定になるよう、炭を置くのが重要なのです。つまりは準備が大切、ということ。炭に限らず、茶道全般にあてはまる一則でもあります。

花は野にあるように

「花が咲いていた状態を感じさせるように生けましょう」という意味です。咲いていた状態をそのまま再現するのではなく、旬の花が持つ生き生きとした美しさを表現することが求められます。

ときには花瓶や花器でなく、花かごを用いて表現されることもあります。単に花びらを散らす、といった表現方法も。奥が深い!

夏は涼しく冬暖かに

客人が快適に過ごせるような環境を作ることはもちろん、「涼」や「暖」を実現できない場合も、せめて感じさせる工夫をしましょう、という意味です。音や色、味わいなど五感をフルに使って相手を楽しませる心が込められています。

刻限は早めに

時間ギリギリになってしまうと、人は焦ってしまうもの。焦っていると、いつもはしないようなミスが生まれたり、他人に思いやりのない言葉をかけてしまったり…誰にでも心当たりがあるのでは?

常に早めの時間を意識していれば、自然と心にゆとりが生まれます。余裕を持った行動をしたければ自分の心がけ次第、と語っています。

降らずとも傘の用意

十分に準備をしたと思っても、もう一歩踏み込んで予測しましょう。もしかしたら雨が降るかもしれないし、思いのほか冷え込むかもしれない。道が混んでいたり、電車が遅れることがあるかもしれません。

思いもよらぬ状況が突然おとずれると、人は混乱し慌ててしまいますが、前もって色んな状況を予測しておけば、自分だけでなくほかの人を助けることにもつながります。

相客に心せよ

相客とは、一緒に客人となった人のこと。茶会では、亭主が招待した客人が、別の客人を連れて相席をすることがあります。とくに茶道が流行した戦国時代においては、敵同士が顔を見合わせる、ということもありました。

しかしここで重要なのは、初めて会った人はもちろん、気の知れた仲であってこそ、同じように気を配ることです。どんな人にも分けへだてなく、互いに尊重しあい、楽しいひとときを過ごしたいですね。

ほかにも利休は利休道歌(利休百首)といって、お茶の心をわかりやすく伝える和歌集を残しています。お茶を心ゆくまで楽しむための知恵と工夫がギッシリ詰まっているんですよ。

茶道の歴史

日本に初めてお茶が入ってきたのは平安時代のこと。当時はあまり広まらず、茶道が普及したのは鎌倉時代に入ってからなんだとか。これは禅宗の僧侶・栄西(えいさい)が日本へお茶を持ち帰ったのがきっかけと言われています。

室町時代に入り、お茶は徐々に流行。最初は「唐物(からもの。中国製のもの)」や、派手なものを良しとする風潮でしたが、村田珠光という仏僧が「わび茶」と呼ばれる楽しみ方を広めたのを機に、「和物(わもの。日本製のもの)」や質素なものが重宝されるようになっていきます。珠光は道具や茶室を質素なものにすることで、亭主と客人の精神的な交流を大事にしたのです。

これを発展させたのが竹野紹鴎(たけの・じょうおう)。稽古や創意工夫を重要視し、茶道へ取り入れていきます。茶道の美術性・芸術性は紹鴎が作ったと言われているんですよ。そして安土桃山時代になると、茶道の技術を紹鴎から学んだ千利休が「わび茶」を大成させました。

わび茶とは、日本らしい美しさ、日本人らしい精神・心構えを追求した芸術でもあります。その心は今なお受け継がれ、現代の茶道における基礎となっています。

海外では、茶道の心は武士道精神、禅などと並んで「日本文化の根幹」と言われるほど。気が付かないうちに、私たちも自然と茶道の心、お茶をもてなす心を持っているのかもしれませんね。

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茶道の歴史と流派

千利休がわび茶を完成させたのち、利休の子孫たちは「三千家」と呼ばれる流派に分かれます。それぞれ子孫が独自にわび茶・茶道を解釈し、発展させようとしたものです。

裏千家

裏千家では、茶道を「ちゃどう」と読みます。時代の変化に柔軟に対応していく流派で、こんもりと泡を立てるお茶で知られています。

裏通りに面していたため「裏千家」と呼ばれるようになりました。

表千家

表千家は、できるだけ利休の茶道をそのまま守ろうとする流派です。茶道を「さどう」と読みます。

裏千家とは反対に表通りに面しており「表千家」と呼ばれるようになりました。

武者小路千家(むしゃこうじせんけ)

武者小路千家は、とことんムダをはぶき、合理的な作法を目指す流派です。茶道のことを「茶の湯」と呼びます。

京都の武者小路に庵があったので武者小路千家と呼ばれるようになりました。

利休以外の流派

現代の日本では上の三流派が有名ですが、千利休以外にも茶人はいましたし、ほかにもたくさんの流派が存在していて、数えると500通りもあると言われます。

中でも細川三斎、古田織部、薮内紹智などが作った流派は「武家茶」と呼ばれます。刀を腰の左側に差していたため、反対側の右側にふくさをはさむようになりました。

茶道とはなにか、それぞれの流派によっても考え方は違いますが、もともとは「おいしいお茶」のために考えられたもの。茶道とは、今でもおいしいお茶を楽しむためのものなんですね。

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