初釜とは?新春の茶行事「初釜」について知りましょう!

飲み方

初釜(はつがま)とは、年が明けて最初のお茶会のこと。新しい年に初めてお釜を火にかけることから、初釜と呼びます。

茶道においては稽古初めや新年会のような意味があります。初釜とはどんな行事なのか、くわしく見てみましょう!

初釜(はつがま)とは?

初釜とは、新年最初のお茶会のこと。茶道では、お釜にくんだお水を火にかけ、お茶を入れるお湯を沸かします。新しい年をむかえて、最初にお釜を火にかけるため、初釜と言うんですね。

このとき、元旦に最初にくんだ水を若水(わかみず)といい、初釜に使うことも。若水で入れたお茶を飲むと、体によく万病を防ぐ、これから1年間の邪気を払うことができる、などと言われます。

初釜は新年を表す季語でもあります。ほかには「若水」「書初め」「七草」なども新年の季語として知られていますよ。

流派によって差はありますが、1月10日前後に初釜を開催することが多いようです。

初釜の流れ

実際の初釜ではどんな様子でお茶会が進むのか、流れを見てみましょう。ここでは表千家茶道での初釜を参考にご紹介します。

まずは茶室へ入る前から。茶室に持ち込まない道具はあらかじめ寄付(よりつき)にまとめておきます。寄付とは待合室のような部屋のことです。ここでご祝儀をお渡ししたり、白湯をいただくことも。

つくばいで両手、口を清めたら、いざ茶室へ入ります。「つくばい」とは、日本庭園に置かれる手水鉢(ちょうずばち)。手を清めるために用意された鉢で、庭園のおもむきに合ったものが置かれます。

メイン客である正客から順に茶室へ入り、飾られている掛け軸やお花、茶道具などを拝見。席に着いたら新年のあいさつをしましょう。

主人が釜に炭を入れたら、お湯が沸くのを待つ間、懐石料理とお菓子をいただきます。食事が終わったら、次は「中立ち」です。招待客はいったん茶室を出て、外の休憩所で待機。その間、主人は茶室の中を改めます。料理の後片付けをするだけでなく、花を飾りなおしたり、掛物を取り替えたりすることも。

準備が済んだら招待客が茶室に戻り、濃茶、薄茶の順にふるまわれます。初釜での茶碗は一年で最も豪華なものが使われるんだとか。じっくりと堪能したいですね。

初釜に呼ばれたら?

もし初釜に呼ばれたら、どんなことに気を付けたらよいでしょうか?

そもそも、お茶会の主役は茶道具。派手な服装ではなく、落ち着いたデザインでのぞむものですが、そんな中でも初釜は新年会のような行事です。普段のお茶会以上に格式の高い服装を選びます。

できるだけ暗めの色のスーツや、和装であれば訪問着か付け下げ、色無地、小紋柄など。若い人であれば、新年らしく振袖もいいですね。紬や留袖はNGです。柄物の半襟なども避けましょう。茶室の中は狭いこともありますので、帯はお太鼓など、コンパクトな結び方を選びます。

気を付けたいのは靴下。とくに初釜の場合、お茶会・茶室に汚れを持ち込まないという意味をこめ、白い靴下・足袋を選ぶのがベストです。可能なら下ろし立ての白い靴下・足袋を用意しておきましょう。

時計、アクセサリー、帯留めなどはつけないようにします。これは茶道具に傷をつけないため。同様にネイルもNGとされます。

また、お茶を楽しむのが目的なので、香水も不可。メイクも派手すぎないものが喜ばれるでしょう。複数人で茶碗を回し飲みすることもありますので、リップがベッタリと落ちないものを選ぶといいですね。

初釜に持参するもの

初釜に限らず、お茶会には懐紙・菓子切が必須。懐紙は茶碗をぬぐったり、お菓子を乗せたりするのに使います。手ぬぐいを用意しておくのもよいですね。大きめのハンカチでも代用できます。

初釜にはご祝儀を用意します。会費制の場合は必要ありませんが、招待客がみな同じ金額を用意する決まりなので、事前に確認しておきましょう。 新札を用意するのがマナーとなっていますが、年末年始は金融機関がお休みのことも多いですから、前もって早めに準備しておきたいですね。

こうした小物類は、まとめて数寄屋袋(すきやぶくろ)へ入れておきます。派手な服装はNGとされる初釜ですが、小物類は華やかなものを用意しても大丈夫。特に懐紙は新年の干支の柄が入っているものを用意したり、新春らしい柄を選ぶのもおすすめです。

手土産として新年のお菓子を持参するものおすすめ。表千家は常盤饅頭(ときわまんじゅう)、裏千家は花びら餅が定番です。流派によって新年の定番菓子がありますので、ぜひ調べてみてくださいね。できるだけ日持ちし、高価すぎないものが喜ばれるようです。

常盤饅頭とは、白いまんじゅう皮に緑色の白あんを包んだお菓子です。真ん中から割ると、雪をかぶった松をイメージさせる気品のあるお菓子。松は千年変わらないと言われ、雪の白さは新しい年を思わせます。

花びら餅とは、薄く延ばした餅生地に、ピンク色に着色した味噌あん、甘く煮たゴボウを乗せ、餅生地を二つ折りにして包んだもの。味噌やゴボウなど、和菓子にはあまりふさわしくないように思えますが、実は花びら餅、お雑煮をイメージした和菓子なんです。まさにお正月にもってこいのお菓子なんですね。

お茶会というと敷居が高いかもしれませんが、常盤饅頭や花びら餅を用意して、自宅で初釜にチャレンジするのはいかがでしょうか?親しい人たちや、家族と飲むお茶はホッとしますよね。新しい年を祝いながら、心温まるひとときを楽しんでください!

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