碾茶ってご存知ですか?抹茶の原料、碾茶の作り方をご紹介します!

製造方法

抹茶には、緑茶とは一味違う独特の風味がありますよね。いったい、どのように作るのでしょうか?

抹茶は「碾茶(てんちゃ)」の茶葉を石臼などでひき、細かくしたものです。抹茶が緑茶と違う風味を持つのは、この碾茶にヒミツがあります。茶畑から抹茶ができるまでの様子を追ってみましょう!

碾茶(てんちゃ)とは?

碾茶とは抹茶の原料となる茶葉のことです。一般的な緑茶と違うのは、「被覆栽培」を行うところ、「揉み」工程がないところ。また、茶葉からお茶を抽出するのではなく、粉末をお湯と混ぜてまるごと飲むので、お茶の栄養素を余すことなく体に取り入れることができます。

ほかに緑茶というと静岡や鹿児島県が産地として有名ですが、碾茶の生産日本一は京都府です。たしかに抹茶と言えば京都のイメージがありますね。また、碾茶は基本的に石臼(うす)などで粉砕され、抹茶として販売されます。碾茶の状態で流通することはほとんどありません。

甜茶(てんちゃ)とは違うの?

「てんちゃ」と言うと「甜茶」の方を先に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?甜茶は中国茶の一種で、碾茶とは全くの別物です。

「甜」とは「甘い」という意味で、そのまま入れても甘味があるのが特徴。これは甜茶に含まれる甘味成分によるもので、砂糖とは違った自然な甘さです。

碾茶の栽培

碾茶(抹茶)も、緑茶も、もとは同じ「チャノキ」という樹から作ります。緑茶の方には日光をたくさん当てますが、碾茶は収獲前の一定期間、日光をさえぎって栽培します。最低でも20日以上は日光をさえぎるのだとか。

いつから日光をさえぎるか…というのは、碾茶や抹茶の出来ばえが決まる重要なポイント。長年の知識や経験をたよりに、一番美味しくなる収獲日、日光をさえぎる期間を計算します。

同じように栽培するお茶に、かぶせ茶や玉露などがありますが、碾茶には収穫後の「揉み」工程がありません。収獲された碾茶は「蒸し」工程に入ったのち、乾燥させます。

「被覆(ひふく)」とは?

緑茶の葉を栽培するとき、日光をさえぎることを「かぶせ」「被覆」などと言うことがあります。これは、チャノキに寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる黒い布をかぶせるため。布以外にも「よしず」「こも」と呼ばれる、ワラで編んだすだれを使うこともあります。

緑茶葉の中には、うま味成分のテアニンと、渋味成分のカテキンが含まれています。このテアニンに日光が当たると、カテキンが生成される仕組みになっているんだとか。カテキンは体に良い成分として知られていますが、渋味成分でもあるので、抹茶の原料としては向きません。

そこで一定期間、日光をさえぎることで、うま味成分のテアニンをたくさん残すことができるのです。甘味・うま味タップリの抹茶はこうして栽培されるのですね。テアニンにはリラックス効果や集中力を高める効能があると言われています。お勉強やお仕事のおともに、休憩に、抹茶を試してみるのもいいかもしれません♪

もうひとつ、被覆栽培をした茶葉は、緑葉素(クロロフィル、緑葉体)が増して緑色が濃くなる、という作用も。緑葉素を増やすことで、少ない日光をたくさん吸収しようとするんです。

緑葉素とは、植物が光合成をおこなうための色素。二酸化炭素を吸収した緑葉素は、日光の力で酸素を作り出します。だから、抹茶は濃い緑色になるんですね!

「覆わない碾茶」って?

近年では、被覆栽培をせず収獲した茶葉を、揉まずに乾燥させた「覆わない碾茶」も存在します。これは、お菓子やアイスクリームに使われる製菓用抹茶の分野で登場したもの。

被覆栽培をすることで、渋味・苦味がおさえられ、うま味・甘味の強い碾茶となりますが、覆わない碾茶は、渋味・苦味が強くなりますよね。お菓子やアイスクリームにお茶らしさを出すためには、渋味・苦味も重要ということでしょうか。味覚って奥が深い…!

「かぶせ香」とは?

碾茶や玉露、かぶせ茶など、被覆栽培をしたお茶には「かぶせ香」と呼ばれる独特の香りが生まれます。青のりのようなさわやかな香りと言われることが多いですね。

とはいえ、緑茶の香り成分は非常に弱いと言われます。本当に新鮮な碾茶・抹茶でないと、わからないかも。ぜひ一度、新鮮な抹茶でかぶせ香を楽しんでください!

碾茶の摘採

碾茶はひとつひとつ手作業で摘採(収獲)されます。「こき摘み」と言われ、指でしごくように葉を取っていくそう。緑茶の摘採では、若い葉から数えて4葉前後を茎と一緒にカットする方法が一般的ですが、碾茶では茎を残して葉だけつむんですね。

また、冬に休眠期間を経た春のお茶を「一番茶」と言いますが、碾茶は基本的に一番茶の摘採しかしません。といっても、一番茶のおいしさのために二番茶・三番茶を調整摘採することはあるようです。

碾茶の原料となるチャノキ

茶道で使われる抹茶には「濃茶(こいちゃ)」「薄茶(うすちゃ)」があります。濃茶のほうが色が濃く、少ないお湯で溶きます。薄茶は黄緑色に近く、多めのお湯で溶き、茶筅(ちゃせん)泡立てて飲むイメージです。

濃茶の方が見た目にも苦そうに思われがちですが、これは日光をさえぎることで緑葉素タップリに仕上がっているため。もちろん、うま味・甘味もタップリふくんでいます。

江戸時代のころは、濃茶には樹齢70年を超えた古木が、薄茶には若木が使われていたんだとか。濃茶の方が高級で格式高いお茶なんですね。最近では品種改良や研究開発が進み、肥料の量や被覆期間を調整した碾茶が使われるようになっています。

碾茶の蒸熱

摘採した碾茶は、その瞬間から発酵をはじめ、どんどん劣化していきます。それを防ぐためにできるだけ早く加熱するのです。これが「蒸し」工程。蒸熱(じょうねつ)とも言います。

煎茶の蒸し時間は30秒程度ですが、碾茶の蒸し時間は20秒程度。蒸し時間を少し長くすると、抹茶にしたときに濃い色になるんですって。蒸すときには茶葉と茶葉が重なったり、くっついたりしないよう、大きなドラムを回転し、撹拌(かくはん)させながら蒸します。

碾茶の冷却

加熱したまま放置すると、どんどん色や香り、味が抜けてしまうため、今度は手早く冷却。やはり葉と葉が重ならないように、風を送って拡散させながら冷却します。これを「散茶」ということも。

碾茶を冷却するための散茶機は、巨大な四角いネット状になっており「あんどん」と呼ばれています。あんどんは長いほどよいとされ、その高さは7メートルにもなるんだとか。高さ7メートルのあんどん内部を踊るように行ったり来たりする碾茶葉…圧巻です。

「揉み」工程とは?

摘採した茶葉を蒸したあと、煎茶などは「揉み」工程に入ります。これは、茶葉の水分を抜きながら形をそろえる工程。茶葉をもむことで茶葉表面の組織を壊し、お茶が出やすくなるはたらきもあります。

碾茶にはこの揉み工程がありません。そのため加工時間が短く、1時間もあれば碾茶が完成するのだとか。逆に言えば時間との勝負ということでもあります。碾茶の加工って、ずいぶん忙しいんですね!

碾茶の乾燥

冷却した碾茶葉を乾燥させたら、碾茶の荒茶が完成です。荒茶とは、最終加工前の茶葉のこと。「荒碾茶」と呼ばれます。荒碾茶の状態でそれぞれのお茶屋さん・市場へ出荷されていきます。

茎や葉脈などの固い部分は水分をたくさん含んでおり、なかなか乾燥が進みません。そのため乾燥後にとりのぞき、残ったものを「碾茶仕上げ茶」といいます。これを石うすでひいたものが抹茶です。茎などの固い部分はもう一度乾燥させます。

ちなみに、碾茶の「碾」の字は「挽く」という意味なんだとか!臼で挽いて粉々にすることを前提にされたお茶なんですね。…と言っても、もちろん碾茶もれっきとした緑茶。急須で入れれば、煎茶のようにお茶として飲むこともできますよ!

ただし、お茶が出るまで結構な時間がかかります。なぜなら碾茶には揉み工程がないからです!煎茶は揉み工程によって、茶葉の細胞組織を破壊し、お湯を注いだ時にお茶が出やすくなっているのです。お湯を注ぐだけで新鮮なお茶が楽しめる技術…考えた人スゴイ!

…失礼、今回は煎茶じゃなくて碾茶のお話でしたね。市場へ出荷された荒碾茶は、お茶屋さんが購入し、それぞれのセンスでブレンドされ、抹茶となっていきます。お茶の世界では「合組(ごうぐみ)」と呼んでいます。合組技術により、深みのある抹茶が誕生するんですね。

抹茶が完成するまであと少し。次は「碾茶から抹茶のつくり方」でお会いしましょう♪

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