土瓶(どびん)も急須と同様、美味しいお茶を入れるためのアイテムです。最近では土瓶のあるご家庭は少なくなっているかもしれませんね。
土瓶は、直接火にかけることができたり、以前は薬草を煎じたりするのに使われた容器。急須よりも大きく、頑丈なつくりをしていることが多いですね。
土瓶と急須の違いや、土瓶の選び方をご紹介します!
土瓶と急須の大きな違いは持ち手
土瓶と急須のもっとも大きな違いは、持ち手です。土瓶は胴体の上部に持ち手がついており、熱を通しにくい素材(竹、籐など)が使われています。急須は胴体の横に持ち手がついており、胴体と同じ素材です。
土瓶は文字通り土から作られたもの。陶器のものが多く、磁器のものもあります。急須にはいろんな素材がありますね。陶器、磁器、ガラス、樹脂、鉄など…
土瓶は比較的大きくて肉厚、急須は小ぶりです。そのため家庭でお茶を入れる際には急須を使っている方が多いかと思います。とくに玉露などは低温でじっくりと提出するお茶なので、急須が適しています。大量の熱湯を使うほうじ茶には土瓶がおすすめです。
土瓶の使い方
土瓶は大きめの容量で、一度にたくさんのお茶を作れます。そのため大家族や、大人数でお茶を飲むときにおすすめです。直接火にかけることができる土瓶は、煮出し茶にもいいですね。中でもほうじ茶は煮出し茶に適しています。
土瓶で沸かしたお湯はまろやかになるので、土瓶でわかしたお湯でお茶を入れたり、お料理に使うのもOK。
土瓶を使うときは「目止め」が必要なものも。基本的には洗った後よく乾かしておくことが大切です。素材によっては、冷たいところに長時間放置したり、水分の多いものをレンジ調理するとヒビが入ってしまうこともありますので、購入時の取扱説明書をよく確認してくださいね!
土瓶蒸しとは?
土瓶と言えば「土瓶蒸し」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。土瓶蒸しとは、土瓶で作る蒸し物のこと。代表的な料理は「マツタケの土瓶蒸し」です。マツタケのほかに白身魚やえび、鶏肉、みつば、ぎんなんなどの具材と一緒に土瓶に入れ、だし汁で蒸す料理です。
具材にはだし汁の風味が染み込み、だし汁には具材から出たエキスが合わさり、どちらも絶品!スダチやユズを絞ることもありますが、その前に少しだし汁を味見するのが作法です。マツタケ以外にも色んな食材で手軽に作ることができるので、ぜひお試しあれ!
なお、土瓶蒸しに適した土瓶は、具材を出し入れする口が大きいもの。一人分にピッタリの小さめサイズがいいですね。また、直火にかけますので、必ず直火対応しているものを選びましょう!取り皿やおちょこがセットになった土瓶もあるので、探してみてくださいね。
土瓶の目止めとは?
陶器は使っているうちにヒビが入ったり、そこから水が漏れてしまうことがあります。それを防ぐために行うのが「目止め」という処理です。陶器ならすべて目止めが必要なわけでもないので、購入時の取扱説明書を確認するか、販売店に問い合わせましょう。
目止めをするときは、お米のとぎ汁か、お水に小麦粉や片栗粉を混ぜて土瓶に入れ、直火で沸騰させます。もし直火にかけられない土瓶なら、土瓶がそっくり入るような大きなお鍋を用意し、その中に土瓶を漬けます。
中身が沸騰したら、火を止めてそのまま冷めるまで待ちます。冷めたらよく洗ってぬめりを取り、しっかり乾燥させます。これにより、お米や小麦粉のでんぷんが表面の小さな穴をふさぎ、コーティング剤の役目を果たしてくれるのです。
大事に手入れすることで、使うたびに味が柔らかく、まろやかになると言われる土瓶。手間はかかりますが、時間をかけて育てていきたいですね!
土瓶が少なくなったワケ
急須は様々なバリエーションが出ているいっぽう、土瓶は素朴で昔ながらのイメージがありませんか?
戦前までは、土瓶はどこの家庭にもある必須アイテムだったと言われます。お湯を沸かすほか、土瓶蒸しや、煮出し茶、薬草を煎じるのによく使われていました。時代が下り、金属製のヤカンや電気ポット、魔法ビン、ペットボトルなどの新素材が登場し、次第に土瓶の需要が低下していったのだとか。
土瓶というと、お茶よりお料理アイテムと思われるかもしれませんが、土瓶でお茶を入れるのも美味しいんですよ!
土瓶の良さとは?
土瓶といえば、大きくて重いイメージもありますが、急須サイズの小ぶりな土瓶もあります。お茶を入れるだけなら小さいものでOKですね。せっかくだから土瓶蒸しをしたい、という方は、専用の土瓶を選ぶ必要があります。
お茶を入れるための土瓶は火にかけられないものも多いですが、火にかけられる土瓶の中には、目止めや貫入といった特別なお手入れが必要な場合もあります。よく考えてから選びましょう。
細かな点を考慮すると、金属製のお鍋でいいんじゃ、とか、急須の大きいのじゃダメなの?とか、聞こえてきそうですね。
土瓶の良さは、土で作られた素材の蓄熱性にあります。金属製に比べてゆっくりと火が通り、お茶のうま味をじっくりと引き出すことができます。しかし時間がかかるというわけでなく、むしろ短時間でお茶を抽出することができます。
一度温まると冷めにくいので、たくさんお茶を作ってたくさんの人数で楽しむことができるのもいいところ。
また吸水性を持っているので、お茶の渋味・苦味などを土肌に吸収し、お茶の味をまろやかで美味しくしてくれる、というメリットもあります。
急須は横手ですので、大容量のものは傾けたときにうっかりドバッ…と出てしまったり、お茶の味にムラが出てしまうこともありますね。土瓶は上に持ち手があるほか、平べったい作りのものが多いので、重心が安定しやすいのです。
ただし直火OKの土瓶は、加熱するととても熱くなります。さらに土瓶自体もしっかりとして重量のあるものが多いので、くれぐれも取り扱いにはご注意ください!
土瓶の選び方
土瓶は、お茶をたくさん作りたい、大人数でお茶を楽しみたい、という場面にピッタリ。ではどんな土瓶を選ぶのがよいか、ポイントをチェックしましょう。
土瓶を選ぶときに重要なのは、実際に手に取ってみることです。重さやサイズ感は、実際に試してみるのが一番。お茶が入るとさらに重くなることを考慮しましょう。
次に重要なのは、茶こしの形をよく見るということ。土瓶は穴が大きくてふくらみがある茶こしがよいと言われます。ステンレスの茶こしがついているタイプは取り外して洗えるので清潔ですが、ステンレスのニオイが気になる方はご使用を避けてください。
お手入れ方法も重要です。陶器の土瓶は耐火性・蓄熱性に優れますが、目止めなどの面倒なお手入れが必要なことも。電子レンジやIH調理器に対応かどうかも確認が必要ですね。近年では食洗器に対応した土瓶もあります。
最後に、持っている湯のみやカップとの相性も考慮しましょう。
土瓶は焼き物や陶芸の窯元・メーカーが製造している他、漢方薬の取り扱い店でも製造販売しているとことがあります。ぜひ自分にピッタリの土瓶を見つけてくださいね!
おすすめの土瓶【すすむ土瓶】
すすむ屋茶店の土瓶は真っ白な磁器製。持ち手は真ちゅうを組み合わせており、スタイリッシュながらも控えめな存在感で、どんなご家庭にもマッチします。
磁器製なので直火にかけることはできませんが、こだわりの持ち手にご注目ください。手や腕に負担がかからず注ぐことができる形状になっています。
茶こしは穴が大きく、ふくらみがあり、お茶を入れるのに適したタイプ。お茶をたくさん入れるために考え抜いた土瓶です。ぜひたくさんの人とワイワイ楽しんでくださいね!
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