みなさんは普段どんなお茶を飲まれますか?
朝は目を覚ますために緑茶、午後のおやつと一緒に紅茶、食事のときはウーロン茶、夜のリラックスタイムカフェインの少ないほうじ茶・・・と時間帯や気分によって飲み分けている方もいらっしゃるかと思います。
色も味も全く違うこれらのお茶、実はすべて同じ『チャ』から作られているってご存知でしたか?今回は意外と知られていないお茶の分類についてご紹介します。
緑茶と紅茶とウーロン茶は全てツバキ科の『チャ』からできる
緑茶と紅茶とウーロン茶の原料はすべて同じ『チャ』からできています。 学名はカメリア・シネンシスと言い、ツバキ科の植物です。鮮やかな濃い緑色の葉に赤い花の、あの椿と同じ仲間で、チャは白い小さな花をつけます。
このチャから緑茶と紅茶とウーロン茶ができるのです。チャは世界に広く分布しており、主に大きく中国種とアッサム種の二種類に分けられます。
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緑茶と紅茶とウーロン茶の違いは『発酵』によって
では、緑茶と紅茶とウーロン茶の違いはどうやって産まれるのでしょう。それは発酵の程度によって産まれます。発酵と言っても、ヨーグルトやビールなどのように乳酸菌や酵母菌といった微生物が作用する発酵とは異なります。
茶葉の持つ酸化酵素を働かせることがお茶の発酵です。摘み取った直後から酸化酵素は働き始めるので、これを止めるために加熱処理を行うのですが、加熱処理をいつ行うかでそれぞれのお茶の違いが生まれます。
少しイメージしづらい方のために、例えば、りんごを剥いたとします。そのまま放っておくと茶色く変化しますよね。茶色くなってしまったりんごは酸化していて、ちょっと苦味や渋味を感じると思います。また、ジャムを作るように鍋や電子レンジで加熱するとりんごは綺麗な色のまま。これと同じようなことが茶葉にも起こるのです。
緑茶と紅茶とウーロン茶のつくり方は?
では、実際に緑茶と紅茶とウーロン茶のどのタイミングの発酵具合でつくっているのかつくりかたをご説明します!
発酵させない緑茶『不発酵茶』
茶を摘み取ってすぐに加熱して酵素の働きを止めます。すぐに発酵を止めることで鮮やかな緑色を保ちます。加熱は蒸すまたは炒る方法が主で、私たちがよく目にする緑茶の大半は蒸し製。
うま味と渋味が調和したふくよかな味になります。九州の一部地域で作られる緑茶や中国緑茶が釜炒り製で、香ばしい香りのあっさりした味が特徴です。
発酵を途中で止めるウーロン茶『半発酵茶』
摘み採った茶葉を天日干しにしたあと室内に広げて萎れさせ、発酵を進めます。その後、釜で炒って発酵を止め、専用の機械で茶葉を揉みます。そして布で葉を包み、絞りながら形を整えて乾燥させていきます。
この発酵の程度はさまざまで、軽く発酵しているものは緑色や薄い茶色になります。私たちがよく目にする濃い茶色のウーロン茶は発酵がしっかりと進んだものということです。
じっくり発酵させる紅茶 発酵茶
茶葉を陰干したあと揉み込み、約25度の湿度の高い場所で寝かせて発酵を促進させます。その後葉を熱風で乾かすまで発酵は続きます。しっかりと酵素を働かせるため濃い褐色になるのです。
熱帯地方で作られることの多い紅茶ですが、最近では国産の和紅茶も注目されています。
他にもあるお茶のご紹介
上記の発酵具合によってかわるお茶とは別に様々なお茶があります。
後発酵茶
これまで紹介した発酵茶とは異なり、微生物によって発酵させたお茶もあります。中国のプーアル茶は聞いたことがある方も多いはず。日本にも、富山の「黒茶」や徳島の「阿波番茶」、高知の「碁石茶」といった後発酵茶がありますが、どれも生産量が少なく、とても珍しいお茶です。
ほうじ茶
ウーロン茶や紅茶のように茶褐色のほうじ茶。これは緑茶をさらに加工したものなので、不発酵茶です。緑茶を焦がさないように焙煎し、芳ばしい香りを楽しむことができます。
お茶ではない「茶」
本来であれば「カメリア・シネンシス」から作られた物が「茶」ですが、日本では植物の葉や実、樹皮や根などをお湯に入れて抽出した飲み物を「茶」と呼ぶ習慣があります。お茶はその健康面から安心して飲まれてきた歴史があるため、同じように植物から浸出した麦茶や杜仲茶、ルイボス茶なども「茶」とつけて呼ぶようになったと言われています。
おわりに
どのように緑茶とウーロン茶と紅茶の違いが生まれるかお分かりいただけたでしょうか。発酵度合によってお茶の種類は分かれますが、さらに、そのあとの製造工程や品種、産地、気候条件などによってもお茶の風味や香りは変わってきます。ぜひ好みのお茶を見つけたり、気分や食事に合わせて選んだり、お茶をもっと楽しんでみてください。