私たちがいつも飲んでいるお茶は、お茶畑からやってきます。このお茶、茶畑では一体どのように育っているのでしょう?茶畑の様子をのぞいてみましょう!
茶畑の様子を見てみよう!
日本の茶畑では、主に中国種と呼ばれるチャノキを育てています。自生していると2メートルを超える背丈になりますが、茶畑では1メートル前後に刈り込みされます。
茶畑へ行くと、美しく整列したチャノキの様子を見ることができます。これは一本の長~い木ではなく、何本も並べて植えたものをきれいに刈り整え、お世話しやすいようにしているんですよ。茶畑では、一本のチャノキを「一株」、並んだ列を「一条」と数えます。
茶樹の育て方
茶畑できれいに整列しているチャノキも、はじめは小さな苗でした。チャノキの苗が収獲できるように生育するまでの様子を見てみましょう!
①育苗(いくびょう)
育苗とは、農産物の苗を育てることを言います。チャノキは種から芽を出して生育することもありますが、挿し木でふやすのが一般的。挿し木(さしき)とは、株の一部、つまり茎を切り取り、発根させてふやす方法です。ハーブや多肉植物で多く用いられるふやし方ですね。こうして発根したものが苗となります。
夏挿しは6月ころ、秋挿しは9~10月ころ。2年ほど育てた苗を正式な茶畑へ植え替えるのが基本ですが、ペーパーポットを利用して半年ほどで植え替えが行われることもあります。ペーパーポットとは育苗に使われる鉢のことで、土の中で分解されてしまう特殊な紙で作られています。チャノキの育苗に使われるペーパーポットは、一辺が5~6cm、深さが15cm程度です。
②定植
定植とは、苗床から本式の茶畑に植え替えること。チャノキの苗は春が植え時です。水はけがよく、通気性のよい土が好きなので、定植前にあらかじめ環境を整えておく必要があります。
酸性の土壌にするために肥料を加えたり、地中に排水路を設置したり、たい肥をほどこしたり、手間ひまかけて、ていねいに準備していきます。定植後に茶株を掘り返して土をいじる…なんてことはしませんので、定植前の準備はとても大事なのです。
大型機械を使う茶畑では、機械が畑を踏む圧力によって固い土の層ができます。固い層へは根が張れませんので、それを防ぐために1メートルの深さまで土を耕します。表層と深層の土を入れ替えるように耕すことを「天地返し」と呼び、害虫や病原菌、雑草の根を取り除くこともできるんですよ。
天地返しによって、土中深くに埋まってしまったたい肥を表層まで引き出す役目も。かなり手の込んだ準備ですが、手をかけた分、美味しいお茶ができるんですね。
③幼木(ようぼく)管理
定植した苗は、根付いて収獲できるようになるまでに4~8年程度もかかります。その後は30~50年の間、茶葉を生産し続けるといわれますが、苗が大きくなるまでの間はこまめなお世話が必要。その間は「幼木園、幼木畑」などと呼ばれ、収獲ができる茶畑とは区別されます。
幼木は成木ほど根が張りめぐっていないので、スキマに雑草が繁殖しがち。ビニールシートやワラを敷いて雑草が生えにくくしたり、雑草が小さいうちに土を耕し、根こそぎ取り除くといった世話をします。
こうして大きくなってきた幼木には、剪定(せんてい)が必要になってきます。剪定とは、余分な枝を切り落として、風通しをよくしたり、生育をうながすことです。定植した年には15~20cmの高さで剪定し、2年目には20~30cm、3年目には35~40cm…と、だんだん背丈を伸ばしながら剪定していきます。
④摘採(てきさい)
ほんの小さな苗だったチャノキも、茶農家の愛情をたっぷり受け、とうとう摘採(収獲)の日がやってきました。それでも収獲初年度は商品にならないんだとか。定植から数えると5~8年で品質も安定し、ようやく茶葉デビューとなります。このころには株はり170cmにもなるんですよ。
「株はり」とは、どんどん枝分かれしていくことを言います。とくにお茶の世界では、枝分かれしていったチャノキが端から端までどれくらいのサイズであるか、ということもふくみます。「株はり170cm」とは、ひとつのチャノキが端から端まで170cmもの広さに成長している、ということ。つまり茶畑に整列しているチャノキ一条(一列)の幅が170cmという意味になります。
地域やお茶の品種、茶園によって分かれますが、年に5回の摘採を行うところもあれば、年1回しか摘採しないところもあります。摘採時期によってお茶の品種は大きく分かれ、新茶の時期がもっとも美味しく、高品質な茶葉が摘採できます。長い間の下積みを経て、脂が乗った美味しい時期がおとずれる…人もお茶も一緒ですね。
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