水出し緑茶はまろやかで美味しい、と聞いたことはありませんか?「もともと、まろやかで美味しい茶葉を使っているから」ではないんです。熱いお湯で入れたお茶は、同じ茶葉でも渋味が濃く出ます。
お茶を入れるときは、お水の温度もチェックしてみましょう。これを覚えておけば、あなたもお茶マスター!その日の気分にピッタリのお茶を入れちゃいましょう!
美味しいお茶と温度の関係
お茶には、色々な成分がふくまれています。中でも「カテキン」は渋味成分のひとつ。80℃以上の高温になると、茶葉から抽出されやすくなります。煎茶を入れるときには70~80℃のお湯を使うと、渋味をおさえてうま味を引き出すことができますよ。
カテキンと言えば健康成分としても知られています。カテキンをたっぷりふくんだお茶を飲みたいときは、高めの温度で入れるのがいいでしょう。
いっぽう、うまみ成分は50℃からと低温でも溶け出しやすいので、うまみを感じたいお茶や玉露、上級煎茶などは低温でじっくり入れるのがおすすめ。
また、香りが決め手の玄米茶、ほうじ茶などは、100℃に近い高温で入れると香りが立って芳醇な味わいを感じることができます。
玉露、煎茶、ほうじ茶…なにが違うの?
お茶と温度の関係をお伝えする中で、色んなお茶の種類が出てきましたね。それぞれ、何が違うのでしょうか?共通するのは、どれも「緑茶」であるという点です。
玉露(ぎょくろ)は、茶葉を収穫する前の20日前後、茶畑に覆いをして日光をさえぎったものを言います。日光をさえぎることで、カテキンが生成されず、うまみがたっぷりのお茶になります。鮮やかな緑色をしているのも特徴ですね。40~60℃の低温でじっくり1分蒸らしましょう。
ただし人によっては、うまみ・甘味が強いものの「味が薄い」と感じることもあるようです。その場合は茶葉の量を増やしてみましょう。
煎茶(せんちゃ)は、日本人にもっとも愛されているお茶でもあります。玉露のように日光をさえぎることはなく、お日様をたっぷり浴びて育ちます。さわやかな香り、ほどよい渋味、適度なうまみをバランスよく備えているのが特徴です。70~80℃のお湯で、30~60秒蒸らしましょう。
渋めに入れたいときは、少し高めの温度で。渋味を抑えたいときは、少し低めの温度にしたり、茶葉を減らしたりすると、上手に入れることができます。急いでいるときは高温で20秒という入れ方でもOK。意外にも渋味が少なく、うま味を感じるお茶になるはずです。
ほうじ茶は、茶色ではありますが「緑茶」に分類されます。煎茶などの茶葉を焙煎(から炒り)して、香ばしい風味を引き出したお茶です。焙煎されることでカフェインが揮発し、胃にもやさしいお茶となります。90~100℃の高温で、30秒蒸らしましょう。
玄米茶は、茶葉にあられ(お米を水に浸したのち、炒ったもの)を混ぜたものです。あられの香ばしさとお茶の味わいが合わさり、さっぱりと楽しむことができます。あられが混じっていることで茶葉の量が減っており、カフェインが少なくなっているのも特徴です。
長い時間蒸らせばいいのでは?
お茶の味を100%引き出すなら、とにかく長い時間蒸らせばいいのでは?と考えるかもしれません。お茶の成分は、長く蒸らすほど多く溶け出し、濃くなりますので、間違ってはいません。
しかし、人が美味しいと感じるお茶は、苦味や渋味が少なく、うまみ・甘味が多いお茶。ただ濃くしただけでは、苦味・渋味も濃く出てしまいます。そのため蒸らし時間には制限が設けられているんですね。
とはいえ、人それぞれ味覚も好みも違います。渋味・苦味を強くしたいなら、温度を高めにしたり、うまみ・甘味を強くしたいなら、温度低め・茶葉多めにしたり…と、自分なりのアレンジを楽しむのも、お茶の魅力のひとつ。入れる人によって違う味を楽しむのもいいのではないでしょうか。
美味しいお茶とお水の関係
美味しいお茶を入れるためには、美味しいお水を選ぶのも大切。緑茶に適しているのは「軟水」といって、カルシウムやマグネシウムが少ないお水です。口当たりが軽く、まろやかに感じます。逆に外国のミネラルウォーターに多い硬水は、カルシウムやマグネシウムが多く、しっかりとした飲みごたえを感じます。
日本産のミネラルウォーターや、日本の水道水は、ほとんどが軟水です。もし硬水でお茶を入れると、濁った色になり、香りが薄くなってしまいます。気になる方は軟水でお茶を入れてみてくださいね。
ミネラルウォーターの中には、塩分やほかのミネラル分が多い水もあります。塩分が多いと、当然お茶の味に影響しますし、鉄やマンガンが多いと金属の味・香りがして、お茶も黒っぽくなってしまいます。
また、日本の水道水は多くが「微酸性」ですが、もし酸性が強いと、お茶の色が薄くなり、酸味を感じます。アルカリ性の水で入れたお茶は赤黒く、苦味が出ます。ミネラルウォーターを選ぶときには注意しましょう。
水道水を使う場合は、塩素のニオイが気になる方もいるかもしれません。その場合は浄水器を使ったり、沸騰させるなどカルキ抜きをしてから使うのがおすすめ。塩素のニオイが強いと、お茶にも塩素のニオイが混じってしまいます。
日本に住んでいる私たちは、普段から美味しい緑茶を飲むことができるんですね。お湯の温度を調整することで、いつでも好みのお茶が楽しめます。気分やシーンに合わせて、色んなお茶を楽しみましょう!