2020年は鹿児島茶が生産量日本一?静岡茶との差について調べました。

産地

お茶といえば静岡…と思っているあなた。2020年は鹿児島が静岡のお茶生産量を追い抜くかも。と言われているんです。

これからは「お茶といえば鹿児島」という時代が訪れるのかもしれません。2020年はお茶業界にとって変革の年になろうとしています。

鹿児島茶と静岡茶との差について調べました!

静岡茶とは

静岡県は、牧之原台地を中心にお茶の一大産地として有名です。生産量な長い間日本一を誇っており、半世紀以上もその座をキープしてきました。

平成初期には生産量がピークを迎え、当時の鹿児島県と比べると3~4倍だったとか。「静岡茶」というだけでブランド力があり、人気と同時に絶対的な信頼感があったのです。

小学校の家庭科の授業でお茶の入れ方を学習しますが、同時にお茶の日本一といえば静岡、という知識もインプットされてきた私たち。この常識が2020年、変わるかもしれない、というのです。

…しかし実は、今に始まったことではありません。ここ数年、何度も同じように言われ続けてきています。2019年も「今年こそ鹿児島茶が日本一になるのでは」と言われ、かろうじて静岡茶が王座を守り抜いた状況です。

2020年の一番茶生産量は?

農林水産省は毎年、それぞれの農作物を統計しています。一年間の合計生産量が確定するのは翌年2月ころになりますが、すでに生産が終わっている「一番茶」の様子を見ることで、年間生産量を推測することができます。

2020年は新型コロナウィルスの影響で、一番茶生産量は全国的に減産傾向にあります。一番茶と言えば、緑茶(煎茶)がもっとも美味しいシーズンです。5月上旬に収獲のピークをむかえますが、残念ながら今年は緊急事態宣言の真っただ中。

静岡茶の一番茶は前年比15~20%減と言われているそうです。しかも前年(2019年)は天候不順により記録的減産と言われた年。それをさらに下回ると言われており、過去最低を更新する見込みです。

鹿児島茶は、一番茶の取引量が4%の減少と、減少幅が少ないことがわかります。鹿児島茶は緊急事態宣言が発令される前に収穫ピークが過ぎていたことも、理由の一つに挙げられるでしょう。

2020年一番茶の生産量が減少しているのはなぜ?

ここ数年は全国的にお茶の生産量が減少傾向にあります。新型コロナウィルスによる影響以外にも、天候不順によるものが大きいと言われます。

昨年12~今年3月までの暖冬、4月の強風、気温が上昇しなかったこと、雨が少なかったことなどが原因で、今年は新芽の生育がイマイチだったのだとか。

お茶の木は、冬の寒い時期を乗り越えようとして、たくさんの栄養をため込みます。しかし逆に、寒くならないと栄養をためておく必要がないのです。

さらに春になってからも気温が上がらず、雨が降らなかったことで、新しい芽を生む力が乏しかったと言えます。

また、緑茶需要の低下も原因として大きく、価格低下に歯止めがかからない現在。茶農家離れも深刻化していると言われています。

2020年の静岡茶・鹿児島茶生産量は?

静岡茶市場によると、2020年の静岡茶取扱量は5月末時点で19%減少、6月末時点で24%減少しているとのこと。2019年の静岡茶生産量は29,500トンでしたので、2020年の生産量は22,400トンほどと推測できます。

鹿児島茶の取引量は、6月末時点で14%減少となったそうです。2019年の鹿児島茶生産量は28,000トンでしたので、2020年の生産量は24,000トンほどと推測できます。

しかし現状、在庫過多の状況で鹿児島県でも減産を呼び掛けていることから、両県の差はごくわずかとなりそうです。

静岡茶と鹿児島茶の差とは?

半世紀以上もトップに君臨してきた静岡茶が今、鹿児島茶にその座を譲ろうとしているのは、なぜなのでしょうか。

鹿児島茶は近年、「かごしま茶」「知覧茶」など、ブランド力の強化に努めてきました。それにより単価を上げることに成功し、静岡茶との差がなくなってきているんだとか。

静岡茶は長年、最大の消費地である関東圏のそばで発展してきました。しかし現在は成熟しきっており、競争が激化しています。企業同士がわずかな価格差を争うようになると、そこで働く社員ひとりひとりの利益が低くなってしまいます。製茶産業全体に新風が必要とされていると言われます。

また、静岡茶といえば「やぶきた」の品種がよく知られています。やぶきたと言えば栽培しやすい品種で、安定して高品質のお茶が取れることから、全国的に人気があります。しかし逆にやぶきたしかない画一性が、お茶全体の魅力をそいでいるのだとか。

いっぽうの鹿児島茶は、たくさんの品種をバランスよく栽培していることで知られ、中でも「さえみどり」はやぶきたに次ぐ期待の新品種。ぐんぐん価格を上げています。

鹿児島茶の弱点とは?

静岡茶の喉元にせまる鹿児島茶にも、悩みがあります。それは輸送コストの問題。静岡と比べると関東圏までの距離が気になります。

近年は輸送コストが年々上昇。大きな原因は運送会社のドライバーが深刻な人材不足にあるためと言われています。最近、某運送会社が正午時間帯の戸別配送をやめたことで話題に上りましたね。

反対にオンラインショッピングの急速な普及で、荷物の量は年々増加しているのだとか。人手不足を補うには待遇改善が必要不可欠……というわけで、物流コストは今後も上昇する可能性が高そうです。

しかし!鹿児島茶は、それらを補って余りある勢いなのも事実です。鹿児島茶に限ったことではありませんが、世界経済や石油価格の影響を最小限にするために、AIを活用した予算策定など、時代の最先端を行く試みが行われています。

ほかにも静岡茶と比べ、鹿児島茶は機械化が進んでおり、若手後継者に恵まれているのだとか。フレッシュな若い力や、注目のブランド力、新しい品種「さえみどり」……

鹿児島茶には波乱の時代に先立つような、強いパワーでお茶業界をリードしていって欲しいですね。

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