和紅茶とは?日本で作られている国産紅茶のお話。

和紅茶お茶の種類

「和紅茶(わこうちゃ)」をご存知でしょうか?和紅茶とは、日本産の茶葉で作られた紅茶のこと。日本で作られるお茶のほとんどは「緑茶」として飲まれているので、紅茶になる茶葉はごくわずかです。なんと日本全体のお茶生産量から見るとたった0.13%程度なんだとか!

今回は、そんな貴重な和紅茶の秘密にせまりましょう!

和紅茶とは?

国産の茶葉で生産される紅茶を和紅茶(または国産紅茶、地紅茶)といいます。生産量は約200トンと言われ、その7割は静岡県での生産です。近年の人気上昇に合わせ、ゆっくりと生産量が増えているんだとか。全国地紅茶サミット、世界和紅茶会議といったイベントも開催され、日本の紅茶業界も張り切っている様子がうかがえますね。

海外産の紅茶とくらべ、和紅茶は渋味が少なく、まろやかで優しい風味です。繊細で甘い香りを楽しむことができるので、お子様と一緒に飲んだり、寝る前に飲むのもおすすめ。いつでもどこでも、誰とでも飲みやすいのが和紅茶なのです。

和紅茶の多くが有機栽培で作られていることも大きなポイントですね。安全性や品質を重視して、輸入ものよりも国産もの、という流れが高まっている中、和紅茶の注目が高まっているのもうなずけます。

和紅茶って海外産の紅茶となにが違うの?

海外産の紅茶といえば、インドやスリランカがよく知られています。インドの紅茶生産量は年間100万トンといわれ、日本の和紅茶とはくらべものにならない規模。

海外産紅茶の多くはアッサム種という種類のお茶の木から作られますが、和紅茶は中国種から作られていることもあります。アッサム種は10メートルを超える背丈になり、大きな葉は柔らかくて厚みがあり、発酵しやすいのが特徴です。紅茶を入れたときには色が濃く、香りや風味が強いです。

中国種チャノキは葉が小さくて発酵が弱く、紅茶を入れると薄い色で繊細な風味に。現在ではアッサム種と中国種を交配した品種も多く、地域や気候に合わせて様々な品種が研究開発されているんですよ。

日本では缶入りや袋詰めされたリーフティーもおなじみですが、イギリスをはじめティーバッグが9割超という国も。手軽で飲みやすいのは誰にとってもうれしいですよね。

お茶の種類と和紅茶

緑茶、番茶、麦茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ハーブティ…世界には、実にさまざまなお茶があります。その中でも緑茶・ウーロン茶・紅茶の3種類は、すべて「チャノキ」から作られるお茶です。それぞれ、味も香りも色も全然違うのに…不思議ですよね。

緑茶・ウーロン茶・紅茶の違いを生み出すカギは「発酵」です。緑茶が「不発酵茶」と呼ばれるのに対し、紅茶は「発酵茶」。ウーロン茶はその中間にあたる「半発酵茶」です。

お茶の発酵とは?

お茶の葉を摘むと、その瞬間から茶葉は「発酵」を始めます。茶葉が発酵するのは、茶葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼ酵素のチカラ。この酵素をふんだんに働かせて作るのが紅茶です。

一方、緑茶は酵素のはたらきを抑えるため、摘んだらできるだけ早く加熱します。おもに蒸気を使って蒸す方法が一般的。なお、発酵が完了する前に、途中で加熱処理を行い、発酵を止めてしまうのがウーロン茶です。

和紅茶の歴史

日本茶の生産がさかんになったのは、鎖国が終わった明治初期からと言われます。当時の日本にとって、お茶は重要な輸出品のひとつ。貴重な外貨の獲得源でもあったんですね。

ところが、そのころの世界では、緑茶ではなく紅茶が主流。そこで紅茶の加工に乗り出した…というのが和紅茶の始まりです。最初は慣れない紅茶に悪戦苦闘したものの、海外から製法を学び、やがて世界をうならせるジャパニーズティーを生み出すのです。

19世紀に入ると、イギリス植民地下にあったインドで本格的に紅茶の生産が始まります。英国人好みの紅茶が研究され、インド産紅茶の人気が出るにつれ、価格面でおされてしまい、和紅茶は衰退することになりました。

それでも、昭和初期におこった世界大恐慌のころには、インドやスリランカの紅茶価格が暴落したことを受け、日本産の紅茶が再び世に出るなど、和紅茶が脈々と受け継がれていたことがわかります。このころにはティーバッグが誕生しており、和紅茶もひとつひとつ手作業でティーバッグが作られていました。

第二次世界大戦を経て日本の紅茶産業は再び衰退しますが、戦後復興とともにみるみる回復。当時の和紅茶「べにほまれ」は、紅茶の国イギリスにおいて非常に高い評価を得ていたのだとか!

いずれにせよ日本人に紅茶文化が根付くには長い時間がかかり、緑茶ほどの人気が出ることもありませんでした。しかし鹿児島をはじめとするの古くからの茶農家では、今でも紅茶の製法が伝統として受け継がれています。

和紅茶の発祥は鹿児島県!

和紅茶・国産紅茶は近年になって人気が急増し、生産量も増えているといわれますが、その始まりとなったのが鹿児島県の枕崎市です。枕崎は1931年に国内で初めてアッサム種の露地栽培に成功した場所として知られます。露地栽培とは、ハウスや施設内ではなく、屋外で自然に近い状態で栽培することです。

それ以前からも和紅茶の研究はされてきましたが、ほとんどが中国種チャノキの茶葉を加工したものでした。中国種チャノキは日本茶や中国茶の生産に適しており、さわやかで繊細な味わいがすると言われます。

いっぽう、紅茶に向いていると言われるのは「アッサム種」。香りが強く、濃厚な風味を持ちます。世界に通用する紅茶を作るには中国種チャノキでは限界があり、アッサム種の研究が求められていたのです。

その後、第一次世界大戦、米国の禁酒法、世界恐慌など、歴史に振り回されながらも枕崎の紅茶試験場だけは一貫して紅茶の研究を続けてきましたが、高度経済成長のころには国内消費・輸出品いずれも緑茶が主力となり、やがて紅茶はすたれていきます。

しかし鹿児島で誕生した「べにふうき」「姫ふうき」など国産アッサム種チャノキによる紅茶は、世界の中でジャパニーズティーとして名をはせています。これからの和紅茶の未来が楽しみですね!

1993年誕生「べにふうき」とは?

べにふうきとは、1993年に生まれたお茶の品種です。緑茶として飲んだ時にメチル化カテキンを多く含むことで大ブレイクしました。紅茶として加工するとメチル化カテキンは少なくなってしまいますが、その味わいは、まさに格別!

和紅茶は海外産の紅茶に比べて苦みや渋味が少なく、まろやかな味わいであると言われますが、べにふうきも和紅茶らしく、渋味や苦みが少なくて、やさしい甘味を持っています。べにふうきは、まさに和紅茶の王様と言える風格ですが、それもそのはず、イギリスで絶賛された「べにほまれ」を母として誕生した進化品種なのです!

紅茶として飲んでも、緑茶として飲んでもすばらしい、べにふうき。これからもきっと長い間受け継がれていくことでしょう。

\あわせて読みたい記事はこちら/

おすすめの和紅茶 すすむ屋茶店「薩摩紅茶」

すすむ屋茶店の「薩摩紅茶」は、鹿児島産の伝統的なべにふうきを100%使用しており、ごらんの通り、美しい赤い色が特徴。しっかりめの濃い味わいで、香り高く、落ち着いたひと時を演出してくれます。ぜひ一度ストレートでお試しくださいね!

\詳しく知りたい方はこちら/

タイトルとURLをコピーしました