今さら聞けない!よく耳にする深蒸し茶って煎茶とどう違うの?

お茶の種類

甘味が強く、渋味の少ない深蒸し茶。まろやかなコクがあって飲みやすく、一度飲むとやめられない味わいですよね。最近では深蒸し茶専門の日本茶屋さんも登場しています。ところで、深蒸し茶って普通のお茶とどう違うのでしょうか?

どうして味が違うの?そもそも「深蒸し」ってなに…?深蒸し茶の秘密に迫ります!

深蒸し茶とは?

深蒸し茶とは、その名の通り長く蒸した(深く蒸した)お茶のこと。静岡県の「掛川産深蒸し茶」といえば、聞いたことがある方も多いのでは?一般的な煎茶の場合は30~40秒の蒸し時間なのに対し、深蒸し茶の場合は60秒以上の蒸し時間を取ります。長い物では3分以上蒸すこともあり、特蒸し茶と呼ばれます。

通常の煎茶よりも、深むし茶は茶葉が細かくなっているのが特徴。これは蒸し野菜と同じで、ジャガイモを蒸すときに蒸し時間が長くなるにつれて、よりやわらかく、形が崩れやすくなりますよね。

茶葉が細かくなる分、成分が抽出されやすくなり、お茶の色も濃い緑色になります。一般的な煎茶は黄緑色や、黄色に近い色ですよね。きれいな緑色が出やすい深蒸し茶は、水出し茶としてもオススメ。煎茶を水出しで使うと、渋味や苦味が強く出がちですが、水出し深蒸し茶なら、まろやかなうま味・甘味を感じられます。

深蒸し茶は茶葉が細かいため、お茶の中にも細かい茶葉が混ざります。そのため茶葉そのものに含まれる栄養素も一緒に摂取できるんですよ。健康にもいいお茶なんですね。

「蒸し(むし)」とは?

ところで「蒸し」って何か、ご存知ですか?茶畑で育った緑茶をつむと、その瞬間から茶葉は発酵を始めます。この発酵を止めるために茶葉を加熱処理するのです。なお、発酵を止めずに完全発酵させたものが紅茶、発酵の途中から加熱処理を行ったのがウーロン茶。

「蒸し」は、この加熱処理の方法です。茶葉を摘んだら、できるだけ早く蒸気で加熱します。この蒸し時間を長くとったものが深蒸し茶。深蒸し茶だけでなく、「蒸し」はお茶にとってもっとも大事な時間です。蒸しによってお茶の味がすべて決まる、なんて言われることも!

深蒸し茶はこんな風に生まれてくるんですね。煎茶と飲み比べてみるのもおもしろいかも!

深蒸し茶はとってもヘルシー!

深蒸し茶を飲むと、細かい茶葉を一緒に飲むことができますが、一体どんな栄養がふくまれているのでしょうか?茶葉にお湯を注ぐことで、お茶には水溶性の栄養分が溶け出します。カテキンなどのポリフェノール類や、ビタミン類、ミネラル類にくわえて甘味・うま味成分などです。

一方、不溶性や脂溶性の栄養分は茶葉の中に残ります。不溶性の成分である銅、亜鉛、マンガンなどのミネラル類や、食物繊維、タンパク質。脂溶性の成分であるβカロテン、ビタミンEなどなど。お茶に溶けず、茶葉に残ってしまう栄養素は約7~8割と言われます。お茶と一緒に貴重な栄養素を取れる深蒸し茶は、とってもヘルシーですね!

また100gの煎茶に含まれるビタミンEの含有量は、アーモンドを大きく超えるんだとか。ビタミンEには抗酸化作用があり、近年大注目されていますよね。深蒸し茶に含まれる細かな茶葉には、たくさんの栄養がギッシリ!深蒸し茶で美味しく健康になれるなんて、素晴らしい!

深蒸し茶の歴史

おいしくて健康にもよい深蒸し茶。一体どのように誕生したのでしょうか?深蒸し茶が生まれたところは、静岡県中西部にある牧ノ原台地周辺といわれています。掛川市をはじめ、現在は日本有数の広大な茶園が見られる地域ですが、江戸末期までは未開拓の原野が広がっていたんですって。

荒れ果てた原野を切り開いたのは、江戸幕府の解体で職を失った侍(さむらい)たちでした。なかでも水の確保には一番苦労したと伝わります。想像を超える重労働に、多くの人が牧ノ原を離れていきました。

近代になっても「陸の孤島」で、バス停まで2時間歩くのは当たり前だったとか。土地もやせており、収獲できるまでには大変な年月がかかります。ようやく収獲できたものも、葉肉が厚く、渋味が強いお茶でした。

掛川産深蒸し茶の誕生

苦労の末にようやく茶園を開拓した牧ノ原台地。しかし山間部だったため日光がよく当たり、カテキンをタップリ含んだお茶でした。カテキンは体に良い成分ですが、多ければ多いほど渋~い味になってしまいます。

そこで偶然誕生したのが深蒸し茶だったのです。たまたま蒸し時間を長くとったところ、まろやかで飲みやすい味わいに!これこそ、掛川や牧ノ原台地の人たちが追い求めていた日本茶でした。

ただ蒸し時間が長いため、香りが飛んでしまいやすいのが難点。そこで香りの強い緑茶をブレンドしたり、「火入れ」という工程により香ばしい香りを引き出すワザを使ったりして、おいしい深蒸し茶を生み出したのです。 日本茶を美味しく飲むために、日本人は様々な工夫をこらしてきたんですね!

掛川産深蒸し茶が健康にいいって本当?

静岡県掛川市で生産される深蒸し茶は、あることをきっかけに日本中の注目を集めました。それは、「がんに効果がある」というウワサ。人口10万人以上の市区町村を見たとき、掛川市ががんによる死亡率が日本一低いと判明したのです。テレビ番組で取り上げられたときには、掛川産深蒸し茶の人気が急上昇しました。

掛川市をはじめ、がん死亡率の低いお茶産地では、いずれもカテキンをたくさん含む煎茶を生産していたことがわかっています。カテキンをたくさん含む煎茶を作るには、日光をたくさん当てることが重要。

しかしカテキンを多く含むほど、渋くて飲みにくいお茶になってしまいます。そこを解決したのが深蒸し製法。カテキンにはさまざまな効果があることが知られており、血圧上昇抑制、血中コレステロール調節、血糖値調節、抗酸化、老化抑制、抗菌、抗アレルギーなど、挙げるとキリがありません。

さらに、お茶をよく飲む人はがんにかかりにくいという研究報告もあるほど。がんだけでなく、体の色んな問題を解決してくれるお茶、たくさん取り入れていきたいですね。

美味しい深蒸し茶の入れ方

深蒸し茶を入れるときは、お湯の温度を少し低め(80℃くらい)を意識しましょう。抽出時間は45~60秒くらいをお好みで。豊かな甘味とうま味を感じられて、とてもまろやかな深蒸し茶。存分に味わいましょう!お茶の底にたまった細かい茶葉も一緒に飲んで、栄養もちゃっかり取り入れてください♪

深蒸し茶と煎茶、改めて比べてみると色んな違いがあります。お茶は、ほぼ日本全国で作られていますが、それぞれの地域の気候や特色に合わせて色んなお茶が楽しめるのも魅力の一つ。ぜひ色んなお茶を楽しんで、あなたの毎日を豊かにしてください♪

ちなみに、すすむ屋茶店の煎茶はほとんどがこの深蒸し茶。また嘉左衛門茶舗でも一部深蒸し茶がありますので是非ご覧になってください。

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