寒~い日に、あたたかい日本茶を飲むとホッとしますよね。暑い夏には冷やして飲むと、スッキリとして爽快な気分になります。日本茶は私たちの暮らしに欠かせない飲み物です。
…ところで、「日本茶」とは一体なんでしょう?身近な存在でありながら、「日本茶とは何か?」と問われると、答えに詰まってしまう方も多いのでは。今回は日本茶とは?を詳しく掘り下げます!
日本茶とは?
日本茶とは、日本で栽培され、加工されているお茶。日本で飲まれるお茶。といった意味があります。
日本茶の始まりは奈良時代のころと言われ、遣唐使が中国からお茶を持ち帰ったことがきっかけ。鎌倉時代にはお茶の栽培が日本各地で活発になり、庶民にまで喫茶文化が広がっていきます。
これは、いわゆる「チャノキ」という植物を指しており、ウーロン茶や紅茶も同じチャノキから作られているんですよ。ウーロン茶が半発酵茶、紅茶が発酵茶と言われるのに対し、日本茶は不発酵茶です。
茶葉を収獲した後は急いで蒸し加工を行い、発酵を止めてしまいます。そのため日本茶は鮮やかな緑色が残ります。緑茶と呼ばれるのもうなずけますね!
日本茶とは?~日本茶(煎茶)ができるまで
私たちが日本茶、緑茶と言うとき、多くの方は煎茶をイメージします。煎茶とは、本来は文字通り「煎じて」飲んだことから「煎茶」と呼ばれるようになったのだとか。煎じるとは、日本茶や薬草などの成分を煮出すこと。つまり、日本茶の煮汁を飲んでいたんですね。
現在の煎茶は、収穫、蒸し、揉み、乾燥などの加工工程をへて荒茶(あらちゃ)と呼ばれる状態になります。荒茶をブレンドしたり、香りを引き出す「火入れ」などを行い、完成品の日本茶が店頭に並ぶのです。詳しく解説します!
日本茶(煎茶)ができるまで①摘採(てきさい)
日本茶の茶葉を収獲することを、摘採(てきさい)と言います。摘採には手作業でつんでいく「手摘み」、機械を用いる「機械摘み」の二通りがあり、広くて広大な平野茶園では機械摘みが主流です。大型の機械が入りにくい山間部では手摘みが一般的です。
鹿児島県をはじめ、温暖な地域では3月下旬~4月に新茶の摘採が始まり、5月には日本全国で新茶の摘採がピークをむかえます。
日本茶(煎茶)ができるまで②蒸し
茶葉を摘採(収獲)したら、発酵が始まる前に素早く蒸し加工を行います。モタモタしていると茶葉が発酵してしまうので、摘採後20時間以内が勝負。新茶の時期は、お茶農家が大忙しになります。
日本茶(煎茶)ができるまで③揉み・乾燥
続いては、蒸した茶葉を揉みながら乾燥させる工程。茶葉を揉むことで、蒸した時の水分を抜くのと同時に、茶葉の細胞組織を壊し、お湯を注いだ時にお茶が出やすくなる効果があります。
また、揉んで水分を抜くので、乾燥温度を高くしすぎる必要がなくなります。あまりに高温すぎると茶葉がいたんだり、成分が破壊されてしまうんだとか。揉み・乾燥は重要な工程をうまく組み合わせているんですね。
揉み・乾燥工程は、さらにこまかく4つの工程に分かれています。
粗揉(そじゅう)
蒸したばかりの茶葉は水分をたっぷり含んでいるので、茶葉と茶葉がくっつかないよう、熱風を当てながら乾燥させます。ドラム缶のような容器を回転させながら熱風を送り込むイメージです。
揉捻(じゅうねん)
茶葉に圧力をかけて練るように揉み、水分を絞り出す工程です。収獲したばかりの茶葉も、だんだんと煎茶の茶葉らしくなっていきます。
中揉(ちゅうじゅう)
粗揉のように、かくはんしながら温風を送り込みます。茶葉の水分量が減っているので、高温の熱風だと焦げ付いてしまう恐れがあります。中揉では、低温でじっくりと乾燥させます。
精揉(せいじゅう)
最後の揉み工程です。人が手で茶葉を揉むように、一定の方向に揉みます。形をそろえ、細長い針状に成形する工程でもあります。精揉が終わった茶葉は「荒茶(あらちゃ)」と呼ばれます。
日本茶ができるまで④選別
荒茶は、第一段階の加工が終了しただけの状態です。荒茶を製品として販売するには、まず選別が必要です。粉や茎などを取り除き、ふるい分けする作業です。
また、茶葉の大きさも不ぞろいですので、必要であれば切断するなどして、形をそろえます。
日本茶ができるまで⑤火入れ
ふるい分けした荒茶を加熱することで、茶葉を乾燥させ、お茶の香りを引き出す作業です。火入れには熟練のワザが必要。味の違いが出る重要なポイントです。
日本茶ができるまで⑥合組(ごうぐみ)
合組とは、ブレンドのこと。生産方法や品種が違えば、お茶の味には驚くほどの違いが出ます。それぞれの違いを生かし、常に新しい味が追求されています。合組が済んだ茶葉は「仕上げ茶」と呼ばれます。
日本茶ができるまで⑦包装・出荷
仕上げ茶は計量・包装され、出荷されます。小売店に並んでいるお茶は、お茶畑から長い旅をしてきたんですね。お茶畑を思い浮かべながら味わうのもいいですよ♪
日本茶とは?~日本茶の種類
日本茶とひとくちに言っても、たくさんの種類があります。中でも身近な日本茶を集めてみました!(※ここでは、チャノキを原料とする日本茶のみをご紹介します。)
煎茶(せんちゃ)
日本でもっとも流通している日本茶です。ペットボトル緑茶の多くは煎茶なんですよ。
近年では「深蒸し煎茶」も人気が出ていますね。一般的な煎茶の蒸し時間は30~60秒。深蒸し煎茶は60~180秒です。長く蒸すことで、苦味・渋味が少なく、まろやかで濃厚なうま味を引き出しています。
反対に蒸し時間が30秒未満のものを「浅蒸し茶」と言います。黄金色のお茶で、すっきりとした風味を楽しめます。
玉露(ぎょくろ)
苦味・渋味が少なく、うま味・甘味をたっぷりと含んだお茶です。茶葉を収獲する前の一定期間、日光をさえぎって栽培したもので、覆い香(おおいか)と呼ばれる独特の香りが特徴です。
かぶせ茶
玉露と同様、日光をさえぎって栽培する日本茶です。玉露が20~30日間の遮光期間なのに対し、かぶせ茶は7~14日間。煎茶のさわやかさも併せ持っているので、入れ方によっても味の違いを楽しめる日本茶ですね。
蒸し製玉緑茶(むしせいたまりょくちゃ)
蒸し製玉緑茶には精揉工程がありません。そのため茶葉の形がグリっとした丸みを帯びており、「グリ茶」とも呼ばれます。のど越しがよく、コクのある味わいが特徴です。
碾茶(てんちゃ)
碾茶を粉々にしたものが、みなさんご存知の抹茶です。玉露やかぶせ茶のように、日光をさえぎって栽培しているので、うま味成分をたくさんふくんでいます。
茶葉を蒸した後は揉まずに乾燥させるので、青のりのような形状をしています。
番茶
新茶より遅い時期に収獲したものを番茶と呼びます。地方によっては日常的に飲むを茶を番茶と呼ぶエリアもあるんだとか。かぶせ茶や碾茶と逆で、夏~秋の強い日差しを浴びている期間が長いため、渋味が多いのが特徴です。一般的に新茶よりも価格が安いです。
ほうじ茶・玄米茶
仕上げ茶をさらに加工したものを「再加工茶」と言います。代表的なものは、ほうじ茶、玄米茶など。ほうじ茶は、緑茶を炒って香ばしい香りを引き出した日本茶です。緑茶とはまた一味違う美味しさがありますね。
煎茶やほうじ茶に玄米を混ぜたのが、玄米茶。玄米は一晩水に浸したものを炒っています。
日本茶とは?~まとめ
日本茶とは、日本で作られ、日本で飲まれるお茶。私たちにとって身近なお茶です。
なかでも、チャノキの葉を原料としており、発酵を止めるために蒸し加工をしています。日本茶にはいろんな種類がありますが、煎茶が代表選手ですね!
日本茶とはなにか、おわかりいただけましたか?日本茶は知れば知るほど奥深く、美味しくなります!楽しい日本茶ライフを送ってくださいね♪